7/6 1999 奥日光の新緑


阿世潟からの男体山
先週に引き続き、7月4日、奥日光に行きました。
今回は久しぶりに歩くことができたので、奥日光のいくつかの自然情報をお伝えします。


阿世潟 (azegata)

4日は朝から晴。久しぶりに見た太陽が新緑をきらきらと照らし初夏まっさかりという日でした。左の写真のように、男体山がくっきりと見え、山頂まで緑に覆われた姿は夏近し、と思わせる景色です。
阿世潟の浜
阿世潟の浜ではサファイアブルーの湖水が鏡面となり新緑を映し、それはもう美しい景色でした。阿世潟までの湖畔には多くの釣り人が糸を垂れ、それぞれニジマスやらブラウントラウトなどをつり上げていました。
また、先月下旬、日光市内にやってきたアキアカネは、中禅寺湖まで山を登ってきたようで、枯れ枝の先で羽を休めていました。

それにしても、林道沿いのRV車の多さには閉口してしまいます。小田代への道のように南岸も交通規制を考えないといけない時期にきていると痛感。

阿世潟の森

クマシデ
阿世潟周辺の森ではキビタキがさえずりブナやイヌブナ、サワグルミ、オオイタヤメイゲツなどの木々が精一杯空に枝をのばし、枝についた新緑は空からの強い光を遮るブラインドのようです。
暗い林内の大木にはエゾハルゼミの抜け殻が今はもう終わってしまった早い夏の時期のあの大合唱の名残のように、しっかりと張り付いています。そして、地面には今年発芽したオオイタヤメイゲツの新芽が成熟した大木の下に太陽の光を少しでも浴びようと精一杯葉を広げています。

森のまわりでは、バイカウツギが清楚な花を見事に開き初夏を喜んでいるようです。また地味ながら秋の実りを予感させるヤマブドウの花、多くの虫を集めるオオバアサガラの花などが咲いています。
また日光市内でちょうど満開のマタタビに似たミヤママタタビも葉をピンク色に染め、もう少しで花を咲かそうとしています。


戦場ヶ原三本松

フタスジチョウ
場所はかわり、戦場ヶ原の三本松の様子。
これまで7月上旬といえば、夏の花であふれていました。アヤメ、ワタスゲ、レンゲツツジなどなど。でも今は違います。花がとても少なくなっています。
乾燥化による植生の変化やシカによる食害などが言われていますが、とても寂しい気がします。地球的規模の大きな変化が訪れているのでしょうか。

それでもカンボクハクサンフウロの花は見られました。わずかながらアヤメも。ホザキシモツケはまだ堅いつぼみでした。
関東地方ではここ奥日光だけに生息するフタスジチョウはたくさん見られ、道路上の動物のオシッコらしき臭いに、羽化してまもない成虫がまとまって集まっています。


湯元の森

バイケイソウ
湯元近くの森の中を歩きました。阿世潟周辺とはちょっと趣の違う森です。コメツガやミズナラの巨木の中にハウチワカエデ・オオモミジなどが点在しています。
ミズナラの明るい森の中にはバイケイソウが咲き始め、サワギクの花も見えます。ミズナラとウラジロモミの森のちょうど境にはショウキランが咲き始めました。


久しぶりに奥日光の森を歩き、以前(15年くらい前)との差は歴然としています。植生がかわりつつあります。
花が減り、林床のササがなくなり、ウラジロモミが枯れ、何か危機的な感じすらもっています。

でもやはり奥日光の自然がなくなってしまった訳ではありません。今でも自然度の高さはやはりすごいと思います。せめて現状より悪化しないよう祈るばかりです。